第47話
自室に戻り、荷物を解いていると突然レオが入ってきた。女の子の部屋に突然入り込むなんて、やっぱりレオはマナーがなっていないと思う。
「急に入ってこないでよ」
むっすりと頬を膨らませていれば、レオはケータイを差し出す。
差し出されたケータイとレオを交互に見返し、やはり意味も分からず首を傾げると、レオはずいっとその手をあたしに押し当てるから〝なに?〟の顔を作ってみせる。
「リョウ」
ハスキーボイスはその名を告げるので、すぐに受け取る。
そうならそうと、最初から言って欲しい。
いや、レオの事だし……全然知らない人ってことも……。
床にしゃがみ、小さく深呼吸をすると耳に当てた。
「……あの、エマ、ですけど」
『あぁ、俺。欲しいの買えた?』
うん、リョウだ。
電話越しでもリョウの穏やかな声は変わらない。
良いなぁ、ケータイって凄いな。
遠くにいる人の声がすぐ近くで聞こえるなんて、魔法じゃん。
「うん。あんなに買ってもらって、良かったの?」
『ああ。気にするな』
「…そっか。ありがとうございます」
思わず、言葉と共に壁に向かってお辞儀をしたから、コツン、と思わずおでこをぶつけてしまう。痛くはないけど、すごい音がした。おでこを手で摩っていると、背後から「だっさ」と笑われるし『どうかしたのか』と電話口からは心配されてしまった。
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