第38話
試着室の全身鏡にはあたしだけの姿が映る。
痩せこけていて、腕と顔の痣も完全には引いていなくて、真っ黒な髪は胸当たりで雑に切り揃えられていて、てんでみっともない。
それなのに肌は異様に白いから、まるでお化けみたいだ。
二重の瞳は猫みたいに大きくて気持ち悪いし、何より童顔だし…レオが言うように、そりゃあ中学生にも見られるよね。
……なのに服だけが可愛いから、顔が負けている。
自分の容姿に愕然としてため息を落とし、ドアを開けると「あ、終わりました〜?どれが好きでした?」と、すぐに店員さんはあたしに気付いてくれた。
「えっと…服は可愛いけどこんなの来た事無いからよく分かんなくて」
「えぇ、似合ってますよ〜?」
声色に感情を乗せた言葉。お世辞だとすぐに分かり、疑念を抱く。
……だって、実際似合ってなかったし。
叔母さんたちに用意されていたのは使い古したTシャツとジーンズくらいで、こんなに女の子らしい服を着たのも五年ぶりだから、今も恥ずかしくてドアを閉めたい。
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