第37話

「カジュアルな感じが好きなのかな?」と、店員さんは甲高い声で馴れ馴れしく話しかけてくるものだから、慣れないあたしは後ずさりをした。



「……いや、そういう、訳じゃ…」


「普段どんな感じなんですかー?」


「普段……?」



言われて、今着ている服装を再確認する。たしかにカジュアルだ。


あとは……着ていた服……。



「動きやすい感じ……?」


「そうなんですね〜!」



人が真剣に悩んで答えたって言うのに、その人は差程関係なさそうに簡単な相槌を返した。


正直イラッとしたので、自分で決めてやろうと浅い心に誓う。


「お姉さん、色白いし可愛いし、ガーリッシュな感じもお似合いですよ〜。こんな感じとか」


しかし、その人はすぐにあたし用にと何点か持ってきてくれた。


試着を促されて服を着ると、サイズもぴったりだし、やっぱりあのお姉さんは実は仕事がすごくできる人なのかもしれない。

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