第35話

やっとの思いで辿り着いたのは、大型の商業施設。ずっとずっと昔〝家族〟と来たことのある場所だった。


不意に涙が込み上げるけれど、レオに気付かれたくないからなんとか感情を押し殺す。


少し遠い地区だけど知り合いに会うかもしれないから、マフラーで口元を隠した。


そんなあたしなんてお構い無しに、レオはスタスタ歩いていくので、遅れないように駆け足で追い掛けた。



「どっか好きなブランドある?」


「服?別にどこのでもいい」


「拘りねーとか……お前幾つだよ、中学生?」


「違う、今年で……十七歳」


「はぁ!?俺の一個下!?ちっちゃくね!?」


「レオは十八なんだ。高校はどこ?」


舜珱しゅんよう!あと、レオさんな!」


「意外に頭良いんだ。……リョウもレオと同い年?」


「どっからどー見てもリョウが年上だろ。あいつは二十歳」



二十歳なんだ…。


もうちょい年上かと思った。


初めて聞く事実に少しだけ驚いていると、レオはあるショップに入るので、後を追う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る