第27話
「…あたし、これからどうすればいいのかな」
リョウの口から吐き出された白い煙を見ながら、独り言のようにぼんやりと呟いた。
「飽きるまでここに居ればいい」
「飽きなければ?」
「……好きなだけ居ればいい」
「その後リョウはあたしをあの家に返す?」
「……はっ、そんなクソみてぇな所に帰りたいなら、そうしたら」
「……あたし、帰らなくて良いの?」
「最初からそう言ってるだろ」
「……なんで?」
「……帰るか?」
「嫌だ」
「じゃあ黙ってここに居ろ」
あ、まただ。
人に優しくされるのは慣れてないから、心臓の内側が急に擽ったくなる。
それに、リョウは穏やかな声色なのに、口だけは相変わらず命令をするので反応に困る。
立てた膝の上で親指を擦り合わせてリョウを覗くと、平然と紫煙を吐き出していた。
……リョウに付いてきたのは正解だったのかな。
あたしの視線に気づいたのか、リョウと目が合うと口元だけで静かに笑うから。
何故だか不意に心が安らいだ。
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