第22話

ドアを隔てた先から何やら抗議も聞こえるけれど、暫くすれば物音は消えた。



帰っちゃったのかな…。


それとも、帰らせちゃったのかな……?



僅かな不安を覚えていると、突然、あたしを支えていたドアが開いた。


そこに背中を預けていたから、思いっ切り尻もちを着き、驚きと同時に「うわっ」と間抜けに裏返った声が出た。


黙りこくって俯いていれば、強引に腕を引かれ身体は起き上がる。



「……わるい。うるさかったな」


「違うの、慣れないとこで……眠れなくて……」


「それはそうと、お前、なんで床で寝てんだよ」


「……いつもそうしてるから……」


素直に理由を告げれば、男は訝しげに眉を潜めた。


「………服、脱げ」


静かすぎる口調。視線を縫い上げると、あたしを見下ろす綺麗な双眸と出会う。


言われるがまま、借りているトレーナーを脱いだ。


赤い花びらが舞う肌に、わざとらしく可憐を装う白い下着が顕になる。


男は腕を組んだままじっとあたしを見つめていた。



「後ろ、向け」


「…いや」


「良いから」


「……やだっ」



手で強引に背中を向けられそうになり、身を捩ってそれを回避した。



「離して!ちゃんとするから!」


「何をだよ」


「ちゃんと上手にする」

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