第21話
◆
まぶたを持ち上げた。
今日もあたしの世界は終わらずに、変わらずに息をしていた。
身体はベッドの上に横たわっていた。自分で乗った記憶もなく、あの男の仕業だとすぐに気付く。
代わり映えのない暗闇の世界。窓から差し込む月の光がベッドにカーテンの影を落としている。
きっと、いつもの時間に目を覚ましたのだろう。
……夢じゃなかった。
だけど、地獄も続かなかった。
ドア越しに何やら話し声が聞こえるので、静かに開けて、隙間から息を潜めて覗けば、あの男の他に二人の男が増えて、何かを話しているようだ。
派手な金髪の男と、すっきりとした黒髪の男。三人ともタバコを吸っているのかドアを開けた瞬間、煙の匂いが鼻先を掠めた。
「……〝カナ〟お前に任せる」
「了解。……あいつら派手に動くぞ」
「げぇー。俺嫌だよー」
「てめぇが一番派手にやるんだろうが」
……何話してるんだろ。
意味のわからない話題に眉を潜めると、唯一見知ったあの男と目が合った。
急いでドアを閉め、背中を預ける。音はしなかったはずだけど……どうだろう。
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