第19話

お風呂は済ませていると言えば、男はあたしの着替えを用意してくれた。


やたらと大きいので、トレーナーだけであたしの膝丈までにもなる。


着心地の良いトレーナーは下は長過ぎて着れないので上だけ借りることにした。


足が、長すぎる。本当に同じ人間なのかな。



男に案内された部屋には暫く戸惑ってしまった。


シンプルに、ベッドだけが用意された部屋だったから。



「……あの」


「文句あんの?」


「さっきの、リビングで…良いです…」


「リビングはダメだ。ここを使え」


「……じゃあ、キッチン、とかで……」


「キッチンでどうやって寝るんだよ」


「……ベッドは、つかえ、ません」


「……取り敢えず、寝ろ」


ため息混じりに命令され「…わ、かった」渋々頷くと、男は壁に凭れていた姿勢をただした。

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