第7話
ゆっくりと足を動かし、時間を掛けてフェンスまで辿り着いた。
闇夜に隠れていた街の灯りが目下に広がり、感情が微かに高揚したのがよく分かった。
あたしに与えられた自由はこの選択肢のみで
生きる事は制約だらけで息をするのも不自由だ。
随分と時間が掛かったなぁ。
本当はあの時、あたしも一緒に行く予定だったのに。
……どうしてあたしだけ遺したの?
なんであたしだけ…
あんな目に遭わなきゃいけなかったの…?
……でも、やっと皆んなに会える。
涙を拭って、フェンスに力を込めた。
……だけど、もはやあたしには自分を支える力すら無い。
赤黒く腫れ上がった右腕はちっとも痛くないのに、どうしても力が入らず、あたしよりも僅かに低い、このフェンスでさえも超えることが出来ない。
僅かに残っていた絶望感が胸を突き刺し、目から枯れ果てた水が溢れた。
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