第500話
「アレクセイ様!副総帥のギレイが関係会社の委任状を手に戻ってきたそうです!アレクセイ様不在のまま総帥解任になりましたっ、私たち、どうしたらっっ!」
「おっ、お前はどうなろうが知らないが私は更迭になどされるような人間ではない!私が帰れば奴らも寝返るはずだっ!
帰る!お前はクビだっ、ケイシー!」
「そんなっ!」
絶句するケイシーに、男は侮蔑の視線を向ける。
「ふん、お前は所詮アンドロの代わりに過ぎない。私を前にすれば股を開く女はいくらでもいる。消えろ。目障りだっ。」
「ウッ、ふうぅー・・・」
泣き崩れてしまったケイシーに軽く蹴りを入れた男は、鼻を鳴らすと私に向き直る。
「アンドロ。必ずお前を手に入れてやる。私は戻ってくるぞ?その時は、激しく愛し合おう。」
決めゼリフとばかりに去っていこうとする男にゆっくりと歩み寄った。
「私は貴様とは一度も愛し合った事はない。」
ゆっくり、また一歩近付く。
「ゆいか様に、止められた。」
男の前に立ち、微笑んだ。
「・・・お前を殺してはならない、と。」
「っっ!」
男が息を呑む。
「だからこれだけにしておく。」
そう言って素早くナイフを取り出し、男の太股めがけて力一杯突き刺した。
「あ゛っ、ああああーーー!!!」
「フフッ、フフフ、」
グリグリとナイフを押しつければ、男の悲鳴が上がる。
こみ上げる闇に、嗤いを抑えきれない。
このまま殺してしまおうかと考えたところで、暖かい手が私の手を包む。
「もういい。殺したらいけんやろ?」
「・・・、はい。」
渋々手を離せば、私の足下で声にならない悲鳴を上げる男が転がっている。
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