第46話

彼女に連れて来られたのは、最近出来た大学内のカフェ。



カッコいい店長に、紅茶が置いていない不思議な店、だと有名なところだった。



ゆいかさん達は、正面から店内には入らず、裏へ回る。



戸惑って立ち止まった私の手を、ゆいかさんは未だに震えている手で、優しく包んだ。



「大丈夫。こっち。」



薄く微笑んだ彼女は、顔色も心なしか悪い。



私よりも、ゆいかさんの体調が気になり、私は自然と気持ちが落ち着いた。



案内されたのは、図書館棟裏口正面にある、カフェの裏口らしき扉。



その黒い扉に、護衛の人がカードキーを通すと、扉が開いた。



その光景を呆然と見ていると、引かれる手。



ゆいかさんに案内されたのは、落ち着いた雰囲気の個室だった。




護衛の人がインターフォンを押す。



すると、ハンディーベルの可愛い音が鳴って、壁にある小窓が勢いよく開いた。

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