第45話

そして今日、彼女は不思議な行動に出た。



絡んできた明里さんを蹴散らして、




「友達になりましょう。」




戸惑ったけど、私の心に何かが染み渡った。




頷いた私を引き連れ、お昼を食べるために教室を出ようとした私たちに、明里さんがくってかかる。



そんな明里さんを、震え上がるような低温で拒否した彼女は、颯爽と講堂を後にした。



だけど、その直後、彼女の身体が震えているのが分かった。



もしかして、私の話を聞いたから?



彼女にも、同じ様な体験があるのかもしれない。



彼女は、おもむろに携帯を取り出し、誰かに電話をかけだす。



その時聞こえた言葉。



【奏】



もしかして・・・新城奏?



滅多に組の話をしないお父さんが、話していたことがある




「若いのに、ありゃ、化け物だな。新城もしばらく安泰だぜ。」




この町を支配する、新城組。



柊も大きな組だけれど、新城は比じゃない。




そこの若頭の新城奏さんを、電話で呼びつけるなんて・・・



ほぼ光樹に軟禁状態だった私が、彼女、【黒蝶】の存在を知る由もなく、妹いたっけ?なんて馬鹿なことを考えていた。

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