第43話
それからは、地獄だった。
揺れる身体に意識を取り戻した私の目の前には、私の中に入り、快楽に顔を歪めて律動を刻む光樹。
抵抗も虚しく、何度も陵辱される身体。
そして満足した光樹がたばこを吸いながら言った言葉は、
「親父には、思い合ってると伝えろ。お前を正式に婚約者にする。
勿論逃げるのも可能だ。」
そう言った光樹に訝しげな視線をやると、
「まぁ、逃げたら姉ちゃんは探さねえし、なにより・・・」
次の言葉は予想がついた。
「お前の弟、あの年で死んじまうのは惜しいよなぁ?」
私はぎゅっと目を瞑り、小さく頷いた。
戸惑うおじさんに、お互い思い合って付き合いだしたと、2人で報告した。
光樹が私に言い寄っていたことを知らない雅人は、
「良かったね!姉ちゃん!」
と、嬉しそうに言ってくれた。胸が締め付けられて、うまく笑えなかった私を、泣き笑いだと勘違いした弟は、幸せそうに呆れていた。
それから分かったのは、明里さんの存在。
普段から、彼女のように光樹の腕に絡みついている彼女。
私と光樹の婚約話後、
「お前、もういらねえ。」
そう言われて振り払われた彼女。
代わりに私の肩に嬉しそうに回される光樹の腕。
彼女の顔が激しい嫉妬と憎悪に歪むのが見て取れるも、私はこの男の彼女を演じなければ。
私自身の危険より、雅人を守ることしか頭になかった。
そして、光樹は毎日の様に抵抗する私を抱く。
しかし、日を重ねるごとに、光樹の表情は険しくなっていった。
それは抵抗を続ける私にある。
まだ私の【心】を手に入れていない事実に、光樹は日に日に焦りを見せだした。
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