第40話

「あいつは俺の右腕であり、親友だった。勿論子供である君たちも、俺の子供も同然。

愛ちゃんの捜索は勿論、これからの生活も、俺が支えるから。

だから、不安に思うことは何一つ無いからね?」



そう言ってくれたおじさんに、私も雅人も、涙を流して頷いた。




それからは、ただ身を寄せ合う私たちを余所に、お父さんのお葬式も終わり、お父さんの身体は灰になった。



私は、忘れていた。



彼の、存在を。



お父さんの死と、いなくなったお姉ちゃん。



ショックが大きすぎて、忘れていた。



私と雅人は、元からの家にそのまま住むことになった。



金銭面も、貯金と、お父さんが遺したお金で、十分大学まで出れることが分かった。



だから、柊のおじさんは私たちの『身元引受人』になってくれた。



高校もそのまま通える。



元通りのようで元通りじゃない日常が戻ってきた、と、思っていた。






・・・あいつが現れるまでは。







ある日、下校時刻に見覚えのある車が校門の前に止まっていた。



後部座席から降りてきたのは、柊光樹。



短い金髪の髪を立てて、目にはゴールドのカラコン。


涼しげな目元に、薄い唇。



チーム【陰】の唯一の光だと、主張するその眩しい出で立ちに、周りの女性は頬を染める。


でも、そんな彼は、私には光どころか、闇にしか見えなかった。

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