第39話

ピンポーーーン・・・



インターフォンが再び鳴り、雅人が覗き穴で確認して部屋の扉を開けた。



「柊のおじさん、こんばんわ!あの・・・父は今居ないんですけど?」



私がそう言うも、何も言葉を発しないおじさんに違和感を覚える。



「・・・おじさん?」



嫌な予感に震える私の声に答えるように、おじさんは口を開いた。



「咲ちゃん。聡(さとし)なぁ、死んじまった。

・・・死んじまったんだ。」



呟くように言ったおじさんに、私も雅人も、言葉を失った。



言葉が出ない私たちを前に、おじさんは再び口を開く。



「今、大きな抗争の真っ最中でな。突然、愛(あい)ちゃんが敵の手に落ちたって情報が入った。」



「っっ!?お姉ちゃんが!?」



「ああ。それを聞いた途端制止する俺らを振り切って約束の場所に一人で行っちまってな。駆けつけた時にはもう・・・」



「・・・そんな!」



力なく座り込む私の肩を支えて、雅人はおじさんに顔を向けた。



「それで、姉さんは?」



私も縋りつくようにおじさんを見た。


無情にも、逸らされる目。



「消息不明なんだ。知り合いの新城にも頼んでみたんだが、情報は掴めなくてなぁ。すまない!親である俺の責任だ!」



頭を下げるおじさんの頭をただ見つめることしか出来ない。



私たち兄弟は、お父さんとお姉ちゃんを同時に失ったんだ。



呆然としている私に、おじさんが優しい声で話し出す。

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