第30話

side 氷上


「じゃ、じゃあ、説明しなさいよ!何で彼らと一緒にいるのか!」



用を足して戻ると、ゆいかさんの座っている位置を囲むようにして立っているあのチャラい集団が目に飛び込んだ。



しかも先頭のケバい女がゆいかさんに詰め寄って叫んでいる。



彼らの背後から、威圧するように低い声を出した。



「・・・何してる。」



ビクリと震えた奴らの肩。そして、何事も無かったように奴らの陰からゆいかさんが顔を出した。



「あ、お帰り。」



「・・・ただいま?」



彼女とチャラ集団の間にさりげなく入り疑問系で返す。



「ふふ、何それ。」



クスクスと笑う彼女に違和感を覚えつつも、その穏やかな笑みに自分の顔も緩むのを感じた。



「お前!無視すんなよ!」



さっきのケバい女がゆいかさんに吠えるも、肝心の彼女は、冷ややかな視線を送っている。



「っっ。」



その視線はとても冷たく、奏さんを前にしている様な錯覚に陥った。



ケバい女も、ゆいかさんのリアクションに戸惑っている様だ。



ゆいかさんの隣の香坂も然り。

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