第27話

リリリリン・・・・



軽快なハンディベルの音が鳴り、暫くすると勢いよく扉が開いた。



「はいはーい。ご注文は?」



「本当に店長なの?弘人。」



目の前の人物は、相変わらずのチャラさを身に纏ってニコニコ顔の真島弘人(まじまひろと)



「そうだよー?俺一般人じゃん?だから『奏が最も信頼してる親友の俺』がこの重要なポストを任されたわけ。

ゆいかちゃんが大学に行く日は俺ココにいるから。」



「【黒蝶】は?」



弘人は夜は高級CLUBの店長という仕事がある。


だから昼間は貴重な睡眠時間な筈で・・・



流石に弘人の体調が気になる。




弘人は、そんな私の様子に若干頬を赤らめたけれど、照れ隠しの様に更におちゃらけだした。



「【黒蝶】も問題ないよー?それにこれまで昼間は子猫ちゃんたち用だった時間だから、生活サイクルはあんまり変わんない。

ただ腰振らないだけ欲求不満になっちゃうかも?」



「・・・コーヒーください。蓮の分も。」



弘人の口から放たれる卑猥な話題に、会話を強制終了。



「・・・喜んで~。」



私の冷たい目に弘人はそそくさと店へと消えていった。



「・・・お前弘人さんの手綱まで握ってるわけ?」



「こえーな。」なんて言っている蓮をキツく睨む。



「あんな卑猥人間の手綱なんて握ってる訳ないでしょ?」



そんな私に、蓮は苦笑いで肩を諫めた。



「自覚無いんなら、それはそれでいいんじゃね?」



「・・・ちっ。」



奏の真似をして舌打ちをかましてみた。



そんな私を、蓮は面白そうに眺めるだけで。



なんだか負けた気がしてやる気を削がれた私は、改めて部屋を見渡してみる。

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