第25話

次の日、今日は一日大学なので、不機嫌MAXの奏の頬にキスをして送り出した。



そして大学に入った瞬間、乱れ飛ぶ女の子からの視線や言葉。



未だに私を白虎の姫だと思っている様で、蓮たちと行動していることが、より噂を助長させている。



ため息を吐きつつ、受講場所へ。



すると昨日と同じく彼女の周りは円を書くように席が空いていた。



私は彼女の隣に歩を進める。



「ココ・・・いいですか?」




「・・・えっ!・・・はっ?!」




俯いていた彼女は、またもや私を見てびっくりした上、私と一緒にいる人物を見て、更に仰天した。



「・・・ちっ。」



「蓮。舌打ちしない。」



彼女を警戒し睨みつけるのは、蓮。



周りを見渡すと、クラスメイトも蓮の出現に目を丸くしている。



でも、辺りをざっと見ても私たちが座れそうな空きは見られない。



私がため息をつくと、か細い声が聞こえた。




「ぁの・・・どぅぞ?」




彼女の震える声に、ニコリと微笑む。



「そうですか?助かります!」



私が腰掛けると、私の隣にドッカリと腰掛けた蓮。



そんな蓮の動作に、彼女の肩が怯えるように震えた。



私はそれを見て、目を細める。



(やっぱりあの痣は・・・)


暗い予感に顔をしかめつつも、今、私が動くべきことはない。



下手に関われば、致命傷になりかねないから。



それからの私は、受講は決まって、彼女の隣でするようになった。



大学内で何か起こるとは思えないけど、私の前で何かあれば、力になれるように。

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