第22話

「・・・お前が何か感じた女なら、自分の気持ちを信じてただの同級生として付き合ってみろ。

護衛連れでなら、一緒にいてもかまわねえ。」



そう言った奏は、私の肩に手をまわす。



「ん。ありがと。でも、危険な状況になったら言ってね?」



「・・・ああ。」



彼女には、普通の同級生として、接してみようと思う。



自分から関わろうとした人間は、初めてに近い。



だから、奏の言ってくれた通り、自分の気持ちを信じたい。



ひとり静かに過ごす部屋の中、気持ちを固める。



大丈夫、奏が後ろにいてくれるから。




なんだか入学したての小学一年生みたいだな、なんて、クスリと笑っていると、組の仕事を終えた奏が帰宅した。




「お帰りなさい!」



「・・・ああ。ただいま。」




深夜1時。奏は気怠げにたばこに火を点けた。




キンッ・・・・




奏が使ったZippo。今年の奏の誕生日に、私があげた物。



デザインは【黒蝶】



わざわざ奏に内緒でデザインを予約するのに、かなりの労力を要した。



電話で予約してデザインを隼人に持って行って貰い・・・



過去の経験から、私が買い物に行くとトラブルに巻き込まれる可能性が高い。


だから、今回は散々隼人に迷惑をかけてしまった。




もう、今度から公開で行こうかな、なんて、乙女らしからぬ企みをしている私。



奏と一緒に買い物に出た方が、逆に平和に買える気がするこの頃。

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