第20話
事務所へ帰る車の中、私は奏に聞こうと思っていた事を口にする。
「あのさ、同じ学科に気になる子がいるんだけど・・・」
「あ゛?浮気か?」
「・・・違う。女の子!」
私の冷たい視線に、「紛らわしい。」と毒づく奏は、それで?と先を促した。
「なんかさ、まだ最初の授業だったのにその子、学科中から避けられてるんだよね?蓮に聞いたら組に関係ある人の彼女だって。」
「ほお。」
女の子の話題だからか、完全に耳に入っていない様子の奏に、ため息をつくと、助手席から隼人が口を開いた。
「ゆいかちゃん、その子の名前は?」
「確か・・・蓮は香坂咲って。」
「ああ、【陰(かげ)】の総長の柊(ひいらぎ)の女だね。」
「なんだと!?」
奏がやっと反応。
「奏?【陰】って?」
訝しげに首を捻る私に奏は、
「ああ、吸収予定の組の息子のチーム。」
と、何とも大ざっぱな説明をしてくれた。
隼人が苦笑いで補足してくれる。
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