第14話
講堂を出て、氷上くんに口を開く。
「・・・あれで良かったかな?」
「・・・ああ。そうだな。」
氷上くんの寂しそうな顔に苦笑いを返す。
私は立場上、友達を選べない。
私が言ったのは、隣の席の彼女のこと。
決してさっきのケバい人じゃない。
無闇に彼女に話しかけなかったのは、私が奏の妻だから。
極道の、しかも東を牛耳る組の若頭という立場は、権力に比例して敵も多い。
だから、私の友人というだけで、狙われかねない立場になる。
真琴のような、特殊な家の生まれの子以外、ましてや一般人なんて、安易に友人にするわけにはいかない。
その子も私と友人になるということがどういうことなのか、リスクがあることを、承知した上で付き合っていかなければいけない。
だから、私は彼女に名前を名乗らなかったのかもしれない。
それでも、なんだか放っておけなかったのは、彼女に、真琴の時と近い気持ちを感じたからなのか。
「・・・奏に相談してみよう。」
友人云々の前に、彼女が抱えている闇が邪魔だ。
十中八九、闇の正体は彼氏だろうな・・・
新城に関わりがあるのなら、奏に聞くのが一番早い。
館内地図でカフェテリアを探して急いで駆けつけると、思った通り、私の好きなインテリアが施されたカフェテリアの前に、もう蓮が来ていた。
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