第13話
「彼女には関わらない方がいいですよぉ?
特に『白虎の姫』ならね?それも本当かどうかも分からないけどぉ!」
ギャハハと下品な笑い声に、私と氷上くんは眉を潜めた。
笑い声の元はなんだか派手な集団。
男の人はチャラいの一言。
女の人はケバいの一言で成り立つこの集団は、私に侮蔑の目を向けている。
周りを見ても、このような格好の人はほぼいない。
どうやら彼らはこの大学でも異質の存在の集まりのようだ。
「・・・ご忠告どうも。」
私は彼らに興味を失って教室を出ようと鞄を肩にかける。
「持とうか?」
氷上くんが優しく気遣ってくれるも、やんわりと断る。
「ううん。ありがと。それより時間ないから行こっか。」
「・・・ああ。」
私たちがその場を後にしようとすると、突然腕を強く掴まれた。
「イタッ!」
振り向けばさっきの派手な女の人がイライラした様子で此方を見ている。
「ちょっと、まだうちが話してるんだけど!」
「・・・はなせ。」
氷上くんが低い声でそう言うと、女の人は渋々手の力を緩めた。
痣になっていないかすぐに確認する。
これが奏にバレれば、大学に行けなくなるかも。
ただ赤くなっているだけなのに、安心すると、女の人へ口を開いた。
「まだ友人なわけでもないですし。隣が空いてるから座っただけです。では、急いでますので。」
そう言って踵を返し、講堂を後にした。
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