第11話
「誰か来るんですか?」
「い、いえ、ただ・・・」
言い淀んで目を泳がせる女の子を訝しげに見ていると。氷上くんが耳打ちしてきた。
「この女の男が、今新城と関わりがあるみたいだ。この女に関われば被害に遭うかもしれないと噂になってるから、大方こんな避け方になってるんだろう。」
「・・・へえ。だったら問題ないね。」
私は女の子の返事を待たずに隣に腰掛けた。
私の横に氷上くんも腰を下ろす。
女の子は私の行動にオロオロするばかり。
この女の子の彼氏が新城に敵対している組織に属しているみたいだけど、きっとこの子は・・・
ちらりと女の子の首筋の辺りに視線をやると、服の隙間から見える痣。
「・・・ちっ。」
私の突然の舌打ちに女の子は肩をビクつかせ、氷上くんは息を呑んだ。
「ごめん。奏のがうつったかな。」
苦笑いの私が言うと、氷上くんは困ったように笑った。
「ただ、弱い女の子は、男の力には勝てない。理不尽だよね。」
私が教室に入ってきた教授を見ながらそう呟くと、女の子はハッと私の顔を見て、氷上くんは何かに気付いたように難しい顔になった。
それから授業が始まり、2限目、教室を移動しても女の子の周りがポッカリ空いていた。
私は彼女の隣に腰掛ける。
私がまだ、奏の妻だとバレていないようで、どうやら白虎の新しい姫だと思われている。
はみ出し者同士仲良くしなくちゃね。
授業中でも晒される、侮蔑の視線を前に、クスリと笑いが出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます