第9話
『ちょっと!今あの女にも頭下げなかった!?』
『もしかして姫!?』
『マジ調子に乗ってるし!』
『マジ死ねよブス!』
「ゆいかさん、お久しぶりです!」
目の前でキラキラと笑顔を見せる白石くんに、笑い返す。
「白石くん久しぶり。元気だった?」
「はい!今日は来なくても良かったんですけど、顔を合わせて挨拶したくて!」
そう言った白石くんは真っ赤な髪を靡かせ、八重歯を覗かせて屈託なく笑う。
1ヶ月ほど会わない内に身長も少し伸びた気がする。
「・・・挨拶?」
「俺たちが大学での護衛を出来ない時に、臨時で此方に来ることになります。」
そう言って前に出たのは、白虎幹部の氷上剣人(ひょうじょうけんと)と佐竹剛(さたけごう)
桃さんの事件の時以来、私の護衛を主に担当している。
あの時、彼女たちとの別れを選んだ彼らに私はとても心を痛めたけれど、彼らは自分が悪いの一点張りで私の謝罪を受け入れてはくれなかった。
そんな私に奏が、
「気にしないでやれ。今回はあいつらが一番プライドを傷つけられたんだ。謝るよりこれからの護衛を受け入れてやれ。」
そう言われ、私はもう気にしないことにしたんだ。
「氷上くん達もこの大学だったんだ?!」
「はい。蓮さんについて行くために入りました。」
「俺たちは全員学部が違うからな。だから3人でローテしてお前につく。俺たち3人でどうしても無理な時、白石がつく。
大学側には兄貴が了承を取ってるから。警備上これくらいしなきゃいけねえんだ。だから、窮屈だけど、我慢してくれ。」
「よろしくお願いしますゆいかさん。」
佐竹くんが頭を下げる。
氷上くんは暗い茶髪に切れ長の目、高い身長。
弓道でもやっていそうな洗礼された雰囲気の人。
佐竹くんは短く坊主に近い髪に凛々しい眉、目は大きく、顔は整っている。
そして熊のように大きな体。実家が柔道教室をやってるらしい。
白石くんはかわいい系。
そしてお兄ちゃんに、蓮。
この人達に囲まれて過ごすとなると、私に集まる女の子の目は・・・
今以上に苛烈なものになるだろうことは予想に容易い。
「・・・はぁ。」
こんなに目立って護衛もなにも無くない?
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