第8話

「「「キャアアアアーーー!!!」」」



いきなり聞こえた悲鳴に肩がビクリと跳ねた。



「なに?」



周りを見渡せば人、人・・・人。



「ちっ。」



隣を見上げれば苛ついた表情の蓮が。



お兄ちゃんに目をやれば、困った様にこちらを見ている。




「蓮?これなに?」



「・・・いつもこうだ。気にすんな。」



気にするなと言われても・・・



周りを見渡せば女の子も男の人も沢山いる。



そして女の子の視線の種類が問題だ。





『なに?あのブス!』



『新城さんの車から降りてこなかった?!』



『マジ調子乗ってる!』



『どうせ遊びだし!失せろブス!』





「・・・めんどい。」



ため息を吐いた私に蓮が笑いかける。




「兄貴といて、お前も感覚鈍ったな。」



「・・・あのね、彼女たちにとって、私がどんな女でも、一緒に居るだけで゛調子乗ってる゛ことになるの。

奏と繁華街歩いたらこんなことしょっちゅうよ?

まだ私に暴言吐いた女を全て沈める、なんて言う奏を止めないでいいだけ楽だわ。」



私が眉間に皺を寄せて言うと、蓮とお兄ちゃんが一斉に笑い出した。



「はははっ、兄貴そんなことしてんの?ゆいかのことになると余裕ねえなぁ。」



「クスクス、ならこんくらい平気か。」



「・・・ホントに大変なんだから。」




私たちが話していると、人だかりが2つに割れた。




「「「キャアアアアア!!!」」」




今度はしっかり耳を塞いで一安心。




人が避けて開いた中心を歩く3人の見覚えのある男の人たちを、耳を塞いだまま見ていると、彼らは私の目の前で止まった。




「「「お疲れさまです!!」」」



「「・・・ああ。」」「おはよう?」





蓮とお兄ちゃん、私が返事をすると、一層騒がしくなる周り。

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