第5話
「白虎の新入り、良いの居た?」
そう言えば、高校も入学の季節。
うちは超不良校だから、白虎志願者も沢山だろうな。
「なに?オーディションでもやるの?」
「「「ブフッ!!」」」
ゲラゲラと笑う3人を呆然と見る。
「ハハハ!『オーディション』だって!腹痛い!」
「・・・。」
そう言う隼人を無言で睨むも、笑いは止まらず。
奏はタバコを指に挟んで下を向いて笑い、蓮は不自然に後ろを向いて肩を震わせている。
「・・・・ふん。」
笑う3人を置いてバスルームへ入った。
大きな鏡を前に、もうお尻まで伸びている髪を、アップしようとしたところで、首筋の違和感に気が付く。
髪を上げて後ろを向くと、
「!!」
首筋に多数の真っ赤な華。そして薄い噛みあと。
そういえば、昨夜の情事は執拗に後ろを攻められた。
「・・・不安なのね。」
奏が欲情を持て余す時、不安に思う時、噛み癖があるのは前から知っている。
私が大学に行くことを不安に思っているんだ。
そして、それを阻止する様に・・・
昨日の情事は、ゴムを着けていなかった。
私が【人形】から戻ったとき、『子供を生んでくれ』と言われて着けなかったけど、大学が落ち着くまではと、その後は着けてしていた私たち。
うちの大学は単位を早めに全て取れるシステムで、試験さえクリアすれば、最悪1年分を半年で取って残りは試験のみでも進級できる。
そんなシステムが成り立つのは、そうする生徒がほぼいないからだ。
授業内容がトップレベルな上、この大学を目指す人は他にも学びたいことが沢山ある人がほとんど。
事業を興したい人、親の会社を継ぐ人、会社に入るためのスキルアップ。
この大学はほぼ、そんな意欲的な人間しかいない。
いや、そんな人じゃないと卒業できない。
切り詰めて単位を取れば、巧く行けば1年の休学で済むから、
子供ができても、この大学の制度ならあまり寂しい思いをさせずに通える。
この大学を選んだ理由の一つ。
そのために高校時代、勉学に励んだ。
奏にも教えて貰って。
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