第61話

扉をくぐれば・・・



「お待ちしておりました。ようこそ新城へ、弓様?」



そう言ってにっこり笑い、流れるような銀髪を光らせたナイスミドル。



「ど、どうも、お邪魔します。」



頭を下げると彼の靴先だけが見える。



(は、隼人さんじゃない?目がチカチカするんですけど!)



絶世の美形、田島隼人さんのキラースマイルを食らって軽く目眩がする。



「チッ、」



秋の不機嫌そうな舌打ちに我に返ると、私はようやく頭を上げる。



「クスッ、すみませんね?若は嫉妬深いようで。・・・彼は一番、あの方に似ていらっしゃいますので覚悟なさってください。」



「は、はぁ………、」



田島さんに首を傾げていれば、私の腰に秋の手が回る。



「・・・隼人、親父は?」



「は。ただいま蝶の間にいらっしゃいます。・・・姐さんと。」



「・・・おっぱじまってねえだろな?」



「・・・・・・大丈夫です。」



・・・なにが?おっぱじまってるって?



よく分からないながらも、腰を押されるままその【蝶の間】へ歩みを進めた。



そして、辿り着いた、珍しい黒い襖。



中央には紫の蝶。



「親父?秋だ。」



「・・・・・・チッ、入れ。」



秋さんのお伺いに、舌打ち付きで渋々返ってきた返答。



それに苦笑した田島さんは襖を開ける。




すると、目に入った広い部屋。

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