第59話

ゴゴゴ……、なんて効果音が出そうな扉が開いて、車は静かにそこを潜った。



「じじいとババアは今夫婦で海外旅行中だ。」



今は組の会長になって現役をほとんど退いている前組長夫婦。


どうやら海外旅行中らしい。



するとすぐに見えてきた、厳つい行列。



「・・・・・。本当に並ぶんだね?」



広子のお父上のガテン仲間と同じような強面の方々がスーツを着るだけで圧力ハンパない。



よく広子のうちに泊まりに行くから、よく彼らの宴会に遭遇している私は強面に免疫があるけど・・・



「並ぶと、5割り増し?」



若干引いていると秋がクスリと微笑む。



「お前、変わってるな。」



穏やかに笑う秋に苦笑いを返した。



「まぁ……、広子の家でガテン系のおじさんが連日宴してるからね。」



「チッ、男か。」



またまた変なところに嫉妬したらしき秋が舌打ちを吐き捨てる。



「・・・おじさん趣味はありませんからね?」



苦笑いしていると、開いた秋側の扉。



秋は車から降りると、振り返って私に手を差し出した。



「・・・来い。」



激しくなる鼓動を無視しつつ、秋の手に自分のを乗せる。



すると強く引かれる私の体。



気が付けば、興味津々で私を見る組員たちと目が合った。

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