第57話

下着を買って、次に入った店。



それは、最高級品が並ぶ、ブランド店。



「・・・ここのはちょっと買えないんだけど。」



私の困り顔に、秋が目を見開く。



「お前に払わせるわけねえだろ?下着だけは払わせてやったがあとは俺持ち。」



「え?嫌。」



眉間に皺を寄せた私に、秋は苦笑する。



すると壮士が嬉しげに微笑んだ。



「若はあなたに買ってあげたいんです。

ここは素直に奢られてはくれませんか?

この店の従業員に若が恥をかかないように。」



壮士の視線にあわせて店内を見渡すと、ニッコリ笑顔の店員さんたちが。



ここは男の見栄というやつなんだろうか?



それにかこつけて私に買い与えたいだけな気がするけど。



納得行かないけど・・・



「う…ん、分かった。でもっ、でも…さ?あんまり大量にはいらないから。」



私は派手に着飾りたいタイプじゃない。



オシャレはしたいタイプだけど。



そんな私に壮士は微笑む。



「下着から判断した様ですが、秋様は派手な女が好きなわけではありません。

まぁ外見は清楚、中身は……が萌なのですよ?」



「・・・萌が好きだね?壮士。」



私の極寒の視線に、壮士は目を見開く。



「あれ?女子高生の中で流行っているのでは?」



「・・・どこ情報よそれ?」



壮士って、変わってる。



私が壮士と笑いあっていると、聞こえてきた低い声。



「・・・壮士。」



視線を向ければ、般若の形相の秋様。

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