第56話

「・・・どうなったの?」



私の言葉に、壮士がぎこちなく微笑む。



「゙騎士゛と゛狗゛に、葬られました。」



「へ、へぇ・・・」



騎士である新城蓮と新見昴


狗である真島弘人と白石拓也



黒蝶が動けば必ず動くと言われている4人。



そして最終的には、



冷帝・新城奏自らが側近の田島隼人と三井鉄二を従えて出てくる。




【黒蝶の逆鱗に触れるなかれ】




今ではそこまで言われるほど。



だけど、彼女の゛ストライクゾーン゛はかなり狭い。



他人に興味がない彼女を激怒させるのは、余りないといえた。



こんな有名な話を、その女たちは知らなかったんだろうか?



首を傾げる私に、壮士が続ける。



「数人、オヤジ狙いがいましてね?」



「・・・納得。」



冷帝の愛情の深さと共に、黒蝶のことも有名。



彼女は全てを冷帝に注いでいる。



「・・・うらやましい。」



思わず口をついて出た。



私は安心して限りなく愛情を注げる人が欲しい。



私だけを、愛してくれる人が。



「大丈夫ですよ?」



隣の壮士が微笑む。



「彼は、新城奏の息子です。

重すぎるほどの愛を注いでくれます。」



私の元へ来る秋に、視線を滑らせた。



「・・・なぁ、やっぱこれ、」



「却下。」



諦めきれない秋は、スケスケを名残惜しそうに見ている。



「私だけを愛してくれるなら、どんな重さだろうが背負ってみせる。」



「・・・そうですか。」



私の言葉を聞いた壮士は微笑み、



「じゃぁいいんだな?買ってくる。」



何かを勘違いした秋は嬉々としてレジへ向かう。



・・・私、あれ着ない、絶対。

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