第54話

翌日・・・



今日は、買い物。



そしてその後、私の゛保護者゛に会う。



冷帝と黒蝶が保護者ってなんかすごいな。



常に噂の中心にいる2人が、私なんかの為に保護者を引き受けてくれたことに、驚きと同時に恐縮してしまう。



「・・・弓、これはどうだ?」


「却下。」



下着コーナーで秋が口角を上げて指さすのは、スケスケの黒い下着。



・・・隠せてないじゃん。



「・・・これは?」


「却下。」



同じ下着の白を指さす秋。



色の問題じゃねーよ。



シュンとする秋は、律儀にも他の物を物色中。



彼は、強制はしない。


自分の意見を無理矢理通しはしない。


それがなにより嬉しい。



『私』を見てくれてる証拠だから。



渉から渡された物は全て、『姫』に染まっていた。



彼女から聞いた゛女の子゛のことは、一般論の中でも中々特殊なもので。



ピンクのフリフリばかりを持っている女の子は今時あまりいない。



目の前のスケスケ下着の白を眺める。



「白やピンクは、大嫌いなの。」



そう言って微笑んだ私の頭を、秋が悲しげに瞳を揺らして撫でる。



「そうか………お前は、黒か紺が似合うな。」



そう言った秋は、私の耳に視線を滑らせた。



街角で300円で買った黒のピアス。



私の数少ない持ち物の一つ。

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