第46話

side 広子




「っっ、どういうことですか!?」



私は怒りに任せて机を叩いた。



捜索願いを出して9日後、警察から連絡があって、私は警察署にいた。



目の前には困惑顔の警察官。



「だからね?彼女は隣町の新城秋氏が引き取ったんだよ。

成人するまでは、父上の新城奏氏が彼女の保護者になる。

会いたいのなら新城に連絡してくれるかな?」



困り顔の彼を前に、動揺を隠せない。



「っっ、なんで、゛悪帝゛と弓が………」



とにかく、そうと分かればここには用がない。



「・・・・隣町。」



警察からの帰り道、その足で電車に飛び乗った。



そして、辿り着いた、『悪の町』



新城の治める町。



駅の喧噪の中一歩踏み出せば、五月蠅い周囲が更にざわめいた。



『壮士様じゃない?カッコい~!!』



『雅人さんもいるじゃん?相変わらず渋いっ。』



周りの人間が弧を描いて中心にいる彼らに熱い視線を送っている。



その種類は、羨望・憧れ。



中心の2人の対照的な表情。



一人は、魅惑的に微笑んでいて、もう一人は、無表情だけどどちらも顔は整っていた。



無表情男の一歩前にいたニヤケ男は、微笑みを携えたまま私に歩み寄る。

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