第33話

秋は、眉間に皺を深く刻んでいて。



彼女はそんな秋から視線を外すと、先を続ける。



「デートすれば、彼女から体調が悪いって呼び出し。

クリスマスなんかの記念日も、家に親がいない彼女と一緒。

私と渉が2人なのは、学校の休み時間と、ベッドにいるときだけだった。」



・・・正直、これは、



俺の表情を理解したのか、彼女は苦笑い。



「うん、セフレに近いよね?これじゃ。」



グシャッ、



突然の音に顔を向ければ、秋がたばこの箱を握り潰していた。



あー、あれ、開けたばっかだよ。



俺が苦笑していると、弓ちゃんは困った様に微笑んだ。



「それでもね?愛されてる自信はあったんだ。だから、姫の友達からいじめられても、どんな噂を広められても、耐えられた。」



「・・・いじめだと?」



秋の声が低くなる。



彼女は、そんな秋の声に怯えた表情を見せた。



「・・・悪い。それで?」



気付いた秋は、声音を柔らかく変える。



そんな気遣いも、今までの秋からは想像も出来ないことで、内心嬉しさがこみ上げる。



「まぁ、暴力なんかは毎日だった。

体にできた痣は、渉には店の手伝いでできたって嘘をついてた。

だって、姫の友達がしてるって聞いたら、悲しむじゃない?」



・・・正直、そんな男を気遣う彼女が信じられなかった。

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