第31話
「だけどな?」
俺はこめかみに手を添えて首を傾けた。
「俺は、お前から聞きてえ。
お前がその時どう感じたのか、お前がどう思ったのか、それを知ることが俺には最も重要なことだ。」
俺の言葉に、弓の頬に涙が伝う。
「・・・おい、俺、なんかしたか?」
弓を泣かせてしまったことに、激しく動揺した。
弓は目元を抑えながらただ首を振っているだけで・・・
泣きやんで欲しくて、三度(みたび)胸に包んだ。
チラリと壮士に視線をやると、
「・・・プッ、」
笑い声が聞こえないように笑うのに必死な様子で。
俺の眉間に皺が寄った。
俺が壮士をガン睨みしていると、
「・・・れし、」
「・・・ん?」
胸の中で弓が何かを呟いた。
聞き直した俺に、弓が困ったような笑みを向ける。
「・・・どうしよ、嬉しい。」
そう言ってはにかんだ弓は、頬を朱色に染めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます