悪帝・新城秋

第27話

「・・・似合ってる。」



「・・・もう、5回目なんですけど?」



抱きしめられて言われた言葉に、私の強ばった体から力が抜けた。



彼を受け入れ始めている私の体。



口先だけだとしても、゛似合ってる゛と言われただけで、胸が高鳴った。



すると、私のリアクションがお気に召したのか、腕の中でもう一回、やっと解放されてソファーに座って2回。



そして、今で5回目。



彼は゛似合ってる゛を連呼する。



不器用な人なのだと思う。



スゴく綺麗な顔は、ほとんど変化を見せない。



時折笑ってくれるのに、不覚にも胸が高鳴る。



長男は、有名だった。



【冷酷非道】、【裏を継ぐ者】として。



新城兄弟はそれぞれ継ぐ部門があるらしい。



長男は新城組、次男は会社、長女はどうか知らないけど。



末っ子の三男は、新城奏の弟、新城蓮の元で学んでいるって。



学ぶって何をだろう?



まぁ、私の耳に入ったのはそれくらいで、所詮噂にすぎないかもしれないけど。



噂の怖さは、分かっている。



それがもたらす人々の非道さも。

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