第26話
「ゴホン、とにかく………、」
一通り笑った壮士は、俺に向き直る。
「・・・本気なら、秋様に溺れさせなければ。彼女が何を抱え、何をしたいのか、常に彼女本人より秋様が考えなくてはなりません。」
「・・・どうすればいい。」
俺が視線だけをやると、壮士は驚いた顔をした。
「おや、本気の女性の為なら秋様も素直ですね。」
苛ついた俺は、壮士を殴ろうと堅く決意した。
そんな俺に気付いたのか、壮士は一歩後ろへ座り直した。
途端、真剣な表情に変わる壮士の表情に、俺の顔も真剣なものとなる。
「常に寄り添っていれば自ずと分かる筈です。秋様が本気で想っていれば、彼女もそれに答えてくれます。」
穏やかな微笑みに変わった壮士の視線の先には・・・
「あの、服、ありがとうございました。」
寝室から恐る恐る出てきた、弓だった。
「・・・、」
弓の格好を見て胸が高鳴った。
ショートヘアの弓は少しボーイッシュだが、黒のワンピースに身を包めば妖艶な女に変わっていた。
思わず立ち上がり、彼女の体を胸に納めた。
「っっ、」
「・・・はぁ。」
弓が動揺に息を呑み、壮士のため息が聞こえるも、俺の心臓は激しく暴れていてそれどころじゃない。
「・・・似合ってる。」
「・・・・。」
俺の呟きに、強ばっていた弓の体から力が抜けた。
それだけで歓喜に震える。
彼女が初めて俺を受け入れてくれたから。
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