第19話

「・・・どうしてこんな、」



何故か見知らぬベッドルームで、【新城秋】に抱きしめられている私。



・・・到底理解できるものではなかった。



「お前はマン喫で、俺が拾った。」



「・・・はぁ、」



私、熱のあまりブースの外で寝てたのかしら。



間抜けな相づちを打った私に、新城秋がクスリと笑みを漏らした。



その表情はどこか妖艶で。



この【男】は最も危険だ。



自分の中で警笛が鳴った。



私が【男】を愛したばかりに父と母は死に、私は【悪女】になった。



私の゛罪゛、それは、【男】なんかを愛したことだ。



だからこそ、私を腕に包んで微笑んでいるこの男は、【危険】だ。



この腕の温もりも、抱きしめる力の心地よさも。


・・・香るシトラスの香りも。



私の全身が、この男と共鳴しようとしている。



・・・【男】なんて。



私は目の前で楽しそうに微笑む男の胸を、思いっきり押しのけた。



「・・・、」



男は、眉を潜めると、私の顔をのぞき込んでくる。

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