悪の巣窟

第18話

side 弓



「・・・・は、ぁ、」



喉の乾きで、目が覚めた。



「・・・気が付いたか?」



うろんな目で天井を見つめていれば、夢うつつで聞こえた心地よい声が真上から聞こえた。



「・・・。」



黙ったまま目線を上げれば・・・



綺麗な男の顔が此方を見ていた。



漆黒の髪は無造作に流され、切れ長のその綺麗な目は、少し下にいる私を見ているせいか伏し目がちだ。



なによりその漆黒の目が、私を吸い込もうと誘う。



「・・・誰。」



私を包み込む、【男】の腕に、安心を感じた自分を嫌悪した。



同時に私の顔も険しくなり、顔も視線も鋭く尖った。



「・・・新城秋(しんじょうあき)だ。」



「・・・新城?」



聞き覚えのある名字に、首を傾げた。



そんな間も、抱きしめられている腕の中から出ようと胸を押し返す。



しかし、新城秋の腕はガンとして私を離してはくれない。

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