第12話

side ??



ピリリリリ・・・




「・・・はい。」


『あ、俺、俺~。』





「・・・オレオレ詐欺っすか?弘人さん。」


『違うし~。なんと、俺から誕生日プレゼントがあります。』




「・・・はぁ、今冬ですよ?脳細胞死んでるんじゃないですか?」


『あ、ちょっと!最近奏に似てきたよ?』




「・・・メンドクサい。切りますよ?」


『あ、ちょい!捜し物、見つかったんだって!!』



画面を押そうとしていた俺の手が止まった。



「・・・本当に、俺に出来ると思ってるんですか?」



親父にとっての、母のような存在が。



眉間に皺を寄せた俺を見ているかの様に、電話口で弘人さんが笑った。



『俺さぁ、女は見る目あんの。

彼女は絶対、【当たり】だね。駅前でティッシュ配りしてるよ?日雇いでね。』


「・・・日雇い?」


『ん~、超訳ありの子だから。明日のバイトは申し込みしてないから、見に行ってみな?

お前が何か感じたら・・・本人に教えて貰うんだね。』



楽しそうな弘人さんの声音に、顔をしかめた。



「・・・今から行きます。名前と場所は?」



弘人さんが電話の向こうで笑みを漏らした。



「名前は市ノ瀬弓ちゃ~ん。


         場所は・・・・、」



電話を切ると、上着を羽織った。

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