第9話
side 弓
「店長?ゴミ捨てますけど・・・」
「あ、はいはい。あ、弓ちゃん、それだしたらあがっていいよ?」
穏やかな表情の細いおっさんは、楠田(くすだ)店長。
店長は私が泣きながら店に来たことを心配して早くあがらせてくれるみたいだった。
正直、今日はヘトヘト。
厚意がありがたかった。
「店長?ありがとうございます。」
頭を下げた私に、店長が優しく笑みを向けた。
ゴミを捨てて、エプロンを脱ぐ。
「・・・はぁ。」
出るのはため息ばかりで。
「もう少し、私が気持ちをぶつけていれば、違ったのかな?」
私の呟いた言葉は、ロッカー室に四散した。
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