市ノ瀬 弓

第2話

市ノ瀬弓(いちのせゆみ)18才。



「お前マジ調子乗ってね?」


(乗ってねーよ。)



親は、健在。



「渉(わたる)は姫(ひめ)のもんなの。分かる?」


(彼女は私なんですけど・・・)



牛乳屋の父と、それを手伝う母。



「汚ねえ手使って寝取ったんだって?

マジ最悪だね!」


(まぁ・・・身体の関係はありますけども。照れる。)



兄弟はいないけど、愛されて育った自信がある。



「ちょっと!さっきからダンマリ?マジ感じ悪い!」



鋭い視線を私に向ける、目の前のギャルは、村人A?名前が分からないし。



「あ、ほらぁ。ああやって仲良さげに一緒に登校してるでしょ?

あんたが【邪魔者】分かる?」



村人Aの言葉に視線を滑らせれば、飛び込んできたお馴染みの風景。



私の彼氏、坂木渉(さかきわたる)が腰に手を添えて歩いているのは、中島姫香(なかじまひめか)



無造作に流された茶髪、柔らかな目元、すらりと延びた手足に、高い身長。


家は、医者一家なんだとか。


勿論学力も、運動神経もトップクラス。



そんな完璧男子な渉が大切そうに身体を支えているのは、



渉のお父さんの親友の娘、中島姫香。



雪のような肌、つぶらな瞳。


桃色な頬に、艶のある唇。



しかも身体の弱い彼女は、正にお姫様。

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