第60話

「誰あれ。余り良い気はしない目だね。」



私が腕を組んで睨んでいると、龍綺は扇子越しに目を細めた。



「調べよか。万智絡みやと翠が暴走しかねん。光樹は新参やしなぁ、」



困ったように笑みを浮かべる龍綺の声音は全く困ってはいない。



「しょうがねぇ。私が頼んでやるよ。」



画面をタップして蛙たんを呼び出す。



『ハイホイハイ、こちら蛙さんです?』



ふざけた出方はもう慣れたしね。


一々突っ込んだら疲れるしね。


華麗にスルーして口を開いた。



「あのさ、私等がいる場所、"見える"?」


『んー、ちょい待ちくん。』



それから直ぐに、


『マコっちゃん、今日のスカート、短すぎじゃね?』


「このいい感じの丈が絶妙なんじゃん?」


『いいねぇ、素敵ぃ。で?』



声音の低くなった蛙に苦笑を漏らした。



「店外の背の高めの、真っ白のミニワンピ来てる顔普通のニヤケた女。」



『・・・・特徴漠然すぎじゃない?

まぁ、偶然白ワンピ1人しかいないからいいけどぉ。』



・・・こいつ、若干ひろぽんに似てて嫌。


あいつ程節操無くないけど。



『ふーん?本当に顔普通じゃね?ちょい待ち。』


「へい。」



しばらく待つ間、目の前の商品に視線を滑らせた。



ん?



「龍綺ぃ。」


「ん、なんや?」



龍綺が甘く微笑むのに顔が熱くなるけどそこは気付かないフリしちゃう。



「このフライパン可愛くね?

私が手料理作っちゃる。」

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