第56話

side 万智




心臓が、ドクドクと音をたてる。



顔に集まる熱は、一向に引かない。




「・・・・あんた、見られてるよ?」



「分かってます。」




場所は、近くのショッピングセンター。



龍綺様もついてくる事になり、大所帯での外出となった。



私は真琴に手を引かれ、龍綺様の車へと乗り込む。



助手席には翠様、光樹は運転席へと乗り込んだ。



「出しや。」


「承知致しました。」



龍綺様の号令の元、車は滑らかに滑り、ショッピングセンターまで私たちを運んだ。



そして今は店を回っている最中、なのだけど……、


「・・・見てるよね?」


「・・・・・・・ええ。」



本家で車に乗り込んでから、移動中から今にかけて、



「見すぎじゃね?」


「・・・・・、」



何故か翠様が私をジッと見つめている。



「今な、゛探求中゛や。気にせんとき。」


「龍綺様、それは無理というものです。」



困ったように笑う私に、龍綺様は面白そうに目を細め、扇子を揺らした。

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