第50話

side 万智



「今度さっ、買い物行こう!」



弾けるような笑顔でそう話しかけてくる真琴様は、嬉しそうで。


「真琴様、それは龍樹様に許可を頂かないことには‥‥、」


私の返答に、真琴様は口を尖らせた。



「ちょっと!様付けしないでくれる?真琴とお呼び。」



偉そうで嫌だと下唇を突き出す真琴様は、女王様のような口調の自分に気付いていないのか。


そのギャップが滑稽で、


「フフッ、分かりました、真琴。」



「ん!上等!」



思わず、笑ってしまう。



私と彼女は、主従関係。



敬語を外す事までは強要しないところに、彼女の気遣いを感じた。



「買い物って、余り行けないんですか?」



彼女は西の頂点に存在する人



そう簡単に買い物には行けないのかも。



私も傘下とはいえ、一応極道の家の娘。



買い物に不便を感じることは多々ある。



そんな私の質問に、真琴は苦い表情を向けた。

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