第39話

昨日ーーーー、



「゛お願い゛なんやけどな。」


「はい、何なりと。」



僕の真剣な表情に、西宮も固唾を呑んで様子を伺うてる。



僕は、西宮の背後に座る、万智へ扇子を向けた。



「君の娘、嫁に欲しい。」


「え!?」



西宮がびっくりしたのと同時に、僕の背中に激痛が走った。



「イタッ、なんやの真琴。」



僕の抗議の声に、真琴は笑顔のまま耳打ちする。



「言い方が悪りいだろうが。それじゃあんたの嫁だよ!」



もう一度僕の背中を抓った真琴は、


「すいませんねー。言い直します!」



西宮達に笑顔を向けた。



少し考えれば…、そやな、



「言い方悪かったわ。僕の゛側近の翠の゛嫁に君が欲しいんや。万智はん。」



「わ、私が、ですか?」



動揺に眼を揺らせる彼女に微笑むと、西宮が難しい顔をしているのが目に入った。



「どうやろか、西宮。僕な、君を買うてるんや。やから、どうせ吸収されるなら、本家にされてみらんか?」


「・・・よいお話だとは思いますが、」



躊躇いを隠せない西宮を前に扇子を振りながら頷いた。



「本家での東差別もあるしな。

傘下と一緒になるんとは苦労が何倍も違う。それと万智はん、アンタもな。」


「それは、どういう……、」



訝しげな表情の万智に、僕は眉を下げた。

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