第34話

「光樹を貰うたら、西宮は残れんらしいな。」


「・・・はい。しかし心配なさらず。

同じ傘下と一緒になります。」



西宮は、優秀な組長や。


やけど口調から分かるようにこいつは東の出身。



今は友好関係とはいえ、東と西は仲が悪い。



東出身の西宮の組が同盟に上がるには、大きな力が必要だった。



それを西宮も理解している。



このままでは同盟には上がれないと。



だから光樹が必要だった。



のし上がれる、大きな才能を持った光樹が。



その機会を奪ったのは僕。


どうせ吸収されるのなら、本家が吸収したろやない?



扇子を口元で揺らし、目を細めた。



「・・・・提案があるんやけど?」




微笑んだ僕に、西宮が首を傾げたのを見て口を開いた。

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