第28話

side 龍綺



僕の執務室は、牡丹の間。



「マジあんたさ、真面目に仕事しなよ。

ほんと、翠に頼りっぱなし!」



牡丹の間で僕の腕の中に収まる、僕のかいらしい嫁さんが口を尖らせて僕を責める。



「んん、真琴に言葉攻めされると僕の色々なスイッチがオンになってしまう。

やから‥‥、これは真琴が悪いんやない?」


「はぁ?馬鹿じゃないのド変態!!」



悪態をつく真琴がかいらしゅうて今すぐベッドへ連れていきたいが、



「・・・龍綺様、只今戻りました。」



「ん、入り。」



翠の帰還の時間やったのを忘れとった。



「ちょっ、はなっ、放せや!」



顔を真っ赤にして翠に見られまいと、僕の腕の中から出ようとする真琴がまた・・・、


「・・・ええな。」



僕の呟きに、何故か真琴が

プシュウ‥‥、なんて音が聞こえそうなほど真っ赤になって固まってしまう。



「失礼致します。」


ごめんな真琴、時間切れ。



固まったままの真琴を更に強く抱きしめたところで翠が部屋に入ってきた。



・・・・、顔色が悪いな。



僕の眉がピクリと動く。


翠は鋭い。


やから悟られないように翠の様子を伺った。



「西宮ですが・・・、」


「ん。どうやった?」



翠はいつもの自分を作っている気でいる。



確かに同じ無表情やけど、西宮に行く前とは雲泥の差がある。



・・・、これは、なにかあったかな?



初めは、西宮と光樹の件で揉めたか思うた。



やけど、



「柊光樹は、明日本家に移動予定です。

今日は送別会を開くそうで・・・。」



揉めてるわけやないらしい。

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