第14話
隼人様より下座には、この美しき夫婦の分身が静かに座していた。
先頭の奏様そっくりな秋様は8才とは思えない、支配者のオーラを纏っていた。
静かに座する兄の隣で柔らかな雰囲気を纏い、2才の妹を膝に乗せているのは、5才になる次男の春様。
夏流様はそんな兄の膝の上で嬉しそうに西の強面な組員たちを眺めている。
3人とも、10にも満たぬ子供だというのに、人を統べる風格が垣間見得る。
私はそんな子供達を一瞥すると、未だに奏様と楽しそうに話している龍綺様へと口を開いた。
「そろそろ時間です。移動なさってください。」
「はいはい。」
上座に龍綺様が座し、私も西の先頭に座る。
龍綺様がユラユラと扇子を揺らし、隼人様がさめざめと涙を流す。
そんな風景を少しの間見つめていると、襖が静かに開かれた。
「・・・・・・、」
開けられた襖からは、白無垢に身を包んだ、真琴様が、西の組員の母親に付き添われて現れた。
龍綺様はそんな光景を扇子で口元を隠しながら、ただ眩しそうに見つめている。
シュルッ、シュルッ……、
真琴様の白無垢が畳を滑る音だけが室内に響き、彼女は先導されるまま、龍綺様の隣に腰をおろした。
小さく微笑み、幸せそうに頬を染める真琴様からは、いつもの金髪で派手な出で立ちの面影は一切なく、
大口を開けて笑うガサツさも垣間見えない。
(女性とは、その時々で色々な表情を見せるものだ。)
この場で真琴様の変化に一番驚いているのは私なのかもしれない。
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