主の婚姻

第9話

その後すぐのことです。



あの男が、"人生を終えた"と報告が入ったのは。




申し訳ありませんが、


その事は私の心情、


ましてや人生になど、


全く影響はございません。




私の日常は相変わらず、龍綺様の為に動き、龍綺様だけを見つめ続けました。



夏には不眠が酷くなり、押入れで過ごしました。



龍綺様はそんな私に気付いていながらも、


拒否する私を理解し、"見て見ぬふり"をしてくれました。




そんな私の日常。



私の手元は血に染まり、


感情も相変わらずさざ波すらたってはくれない。



他人の血で汚れても、私の心は罪悪感すら芽生えない。



龍綺様に逆らい、龍綺様を脅かすのなら、私にとってはそれらは既に人間ではない。




気がつけば、あの男が死んでから8年が経っていた。



そして今日、私の主が再び婚姻の儀を執り行う。



それは一度目とは全く違う、幸せに満ち溢れたものだった。

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