第54話

それからすぐに、奏を置いたら帰宅した俺。



最後までゆいかちゃんの顔は直視できず。




そして翌日。



「はぁ…、」


「おい。いつもより少しだけウザくね?」



朝ごはんを食べながらため息をついた俺に、天使の声が舞い降りた。



「分かる?真琴はお兄ちゃんの憂鬱を一目で見抜いちゃうんだね。」


「いつもウゼえのに、今日は更に増してウザいもんね。」



愛だね。愛。流石俺の妹。



「なんかあったん?」



心配そうに涙を流して(希望)俺を見る真琴を見つめた。



小さくため息を吐く。



「はぁ、……、」


「ウザッ、さっさと言えよ。」



奏ばりに低い声が唸るように聞こえてきたのを合図に、俺の口が軽快に動いた。



「それがさぁ、奏くんがボンキュボンと浮気してぇ、ゆいかちゃんが……、」



若干、”手直し”をした話をねー。




ーーー、



「・・・しょうもねえ。」


「真琴さんや、ちょっと顔が怖いかな?」



話し終わった俺の話を聞き終わった真琴は、唸るようにそう言った。



脱力したように椅子の背に寄りかかった真琴は、プチトマトを口に入れながら失笑した。



うん、俺プチトマトになりたいよ。可愛い真琴に俺の頬が綻ぶ。

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